高校無償化って聞くけれど、よくわかりません。高校生の教育費って、いったいいくらかかるのかしら?
高校無償化とは、高校の授業料を補助し実質無償を目指す国の政策。授業料以外は原則自己負担、公立か私立か、家庭の収入によって補助が変わってきます。

平均的な高校3年間の教育費は、公立で約123万円、私立では約297万円。大学受験をする場合は、この平均を大きく上回ることになります



2010年度より高校授業料無償化がスタートし、教育費事情はママたちが高校生だったころとは、だいぶ変わっています。
よく「高校無償化」と言われていても、正確には授業料の無償化。2014年度からは所得制限も導入されています。


公立高校だけが対象と思われているかもしれませんが、私立高校にも補助があります。
公立よりも授業料が高いぶん、補助も拡大されています。


私立の方が全体に教育費は高いのですが、これにより私立高校まで選択肢が広がった方もいらっしゃるでしょう。現在の状況がどうなっているのか、ぜひ知っておきましょう。


また、何といっても高校生の教育費は、大学受験が大きなポイントです。大学進学を希望するかどうかで教育費がかなり違ってきます。

受験をする場合は、高校3年生に大きなお金が必要!理由は、大学の入学金・前期授業料などの納付金が、高校3年生で必要だからです。


高校3年生での進路選択は、子どもにとっても正念場。大学の学費も重いものですが、ここを乗り越え将来の方向性が見えてくると、支えるママとしても一息つくことができるのではないでしょうか。


それでは、高等学校の教育費を見ていきましょう。


1.高等学校の教育費、いくらかかる?


1-1.公立高校の場合


学年別教育費と内訳(公立高等学校)



月平均は約3.4万円となり、中学校の月約4万円に比べ、減っています。しかし、ここは注意!減っている理由は、大学進学を希望しない学生も含まれているため。


大学受験しないのであれば塾代がほとんど0円なので平均するとこうなります。大学進学を希望する場合は、平均よりも塾・習い事費用がかかることを心得ましょう。


また、高校無償化と言っても、対象は授業料のみです。授業料以外の制服や修学旅行の積立などはかかるので、「全くの無償」ではありません。


入学準備に費用がかかるため、高校1年生での負担が一番大きくなっています。
後でご紹介させていただきますが、大学受験する場合は高校3年生ではとても大きなお金が必要になりますので、ご注意くださいね。

1-2.私立学校の場合

       

      学年別教育費と内訳(私立高等学校)

私立は入学準備に公立よりも費用がかかるため、高校1年生での教育費は公立の約2.5倍。1年生が高校3年間のうち最も大きくなっています。


とはいえ、月平均約8.3万円となり高額でも、公立と同じく私立中学校より家計の負担が減っています。高校無償化制度による授業料の補助がありますし、公立と同じように、大学受験をしない生徒も含まれていて平均を引き下げているからと考えられます。

ん・・平均は分かるけど、大学受験をする場合はどうなるの?
大学を受験する場合の教育費がどうなるのかは、ご紹介した文部科学省のデータからは読み取りにくいですね。では、具体的にいくらかかるのでしょう?


2.高校3年生に大きなお金が必要!


大学進学を希望する場合、高校3年生には大きなお金がかかります。受験のための塾代以外に、受験費用・合格した大学への納付金・新生活準備金がかかるからです。これらの費用は、上記の文部科学省の教育費には含まれていないのでさらに具体的にご紹介しますね。


ここで、大学受験・進学費用にいくらかかるのかを見ていきましょう。

2-1.受験に向けての塾の費用

塾の費用は上記の学校外学習費に含まれていますが、大学へ進学しない家庭も含めての平均になっていますので、進学塾へ通うことになった場合の具体的な例を見てみます。


ある大手進学塾のパンフレットでは、
高校3年生9月~12月の場合
 入学金 30,000円
 授業料 3科目全32回 224,400円
(1ヵ月 56,100円)
となっています。


他に、模擬試験1回あたり4,700円~5,000円を複数回受験し、夏期講習・冬期講習・志望校別演習講座などを受講することになるでしょう。4月から通っていれば、それだけ授業料もかかります。



授業を受ける教科数や、模試の回数、特別講習を加えるかどうかにより、かなり幅が出ますが、高校3年生の1年間だけで年間50~100万円かかると言われるのもうなずけますね。


2-2.センター試験・国公立・私立大学の受験費用


センター試験・国公立・私立大学の受験費用をご紹介します。


●平成28年度センター試験
3教科以上を受験する場合18,000円
2教科以下を受験する場合12,000円
※成績通知を希望する場合は手数料800円が追加


●大学受験
国公立-1校当たり約17,000円
私立大-1校当たり約35,000円
(歯学系・医学系では約40,000円~60,000円かかる場合も)


複数回数受験するご家庭も多いので、受験費用だけでも数万円から10万円以上かかります。さらには、遠方の大学を受験する場合は、交通費や宿泊準備も必要にもなるので、慌てないように現金を用意しておきましょう。

2-3.入学する大学の学校納付金


学校納付金は、大学が国立か私立か、私立では学部によって大きく異なりますので、グラフでわかりやすくご紹介します。

初年度の学費の一覧



国立大学であれば1年目に約82万円、私立文系で約115万円、私立理系は約150万円。歯学部・医学部であれば、もっとかかります。


授業料は入学前に全額必要ではないこともありますが、高校3年生のうちに入学金と授業料の一部が必要になる場合がほとんどです。
各大学によっても納付金額と入金〆切日が違いますので、受験するかもしれない大学には直接確認しましょう。


2-4.その他大学入学前にかかる費用


入学が決まった大学の入学金など学校への納付金に加えて、他にも以下のような費用が必要です。



・合格発表や入学手続のための費用
・入学式出席のための費用
・教科書・教材購入費用
・住まい探しの費用
・生活用品購入費用
・その他の費用(引越し代/4月分の生活費など)


当然ながら、自宅から遠方の大学に通う場合、新たな住まい必要になる下宿生の方が自宅生より費用が多くかかります。

詳細は全国大学生活協同組合連合会「2015年度保護者に聞く新入生調査」概要報告をご覧ください。

こちらをご確認下さい。



受験の日程によっては、さらにお金がかかる場合があることに注意です。
国公立大学の進学を希望する場合、滑り止めの私立大学を受験・合格し入学金を支払ってから、国公立大学の試験を受けることになります。


そのような場合は、私立大学の入学金(キープ代)が別途必要になります。入学金は平均約30万円ですので別途用意しておきましょう。


2-5.奨学金の入金は入学後!



下記は高校3年生の大学受験スケジュールです。

高校3年生入試スケジュールイメージ

このスケジュールからもわかるように、約半数の学生が利用している「日本学生支援機構」の奨学金は、申し込みは高校3年生の春からですが、実際入金されるのは大学入学後となります。高校3年生で現金を確保しておく必要があります。


3.高校生ママが知っておきたい支援制度


高校生ママが知っておきたいのは、「高校無償化の制度内容」と「日本学生支援機構の奨学金制度」です。


「ママも働いていて忙しい」「子どもは学校のプリントは見せない」などのご家庭は、特に意識していないと情報漏れになりがち!アンテナを立てておきましょう。


3-1.高等学校等就学支援金


大阪府での私立高校授業料支援

「高校無償化」と言われている政策の具体化されたものが、「高等学校等就学支援金」です。高校に通う子どもがいる世帯向けの、国の支援金です。
高校無償化とは言うものの、全て無料ではなく、「高校授業料の無償化」であることをまずおさえましょう。

公立・私立高校ともに、授業料の補助として一律年118,800円(月額9,900円)が支給されます。


ただし、市町村民税所得割額が304,200円(年間収入910万円が目安)未満であること、という収入による制限があります。親権者全員、つまり父と母の市町村民税所得割額の合計になることに注意が必要です。


また、私立高校等に通う生徒の世帯には市町村民税所得割額により就学支援金が加算されて支給されます(297,000円まで)。
この「市町村民税所得割額」は、住民税の一部を指しています。


3-2.自治体の支援


自治体では、国の制度である高等学校等就学支援金に上乗せされて、授業料の補助があります。


大阪府では授業料支援補助金により、市町村民税所得割額が154,500円未満の世帯に対し、私立高校の授業料で国の支援金と合わせて上限が58万円になるまで上乗せし、それを超える授業料については学校に負担を求めるようにし、授業料の実質無償化を図っています。

また、公立か私立かにより内容は異なるものの、保護者等(親権者全員)の市町村民税所得割額が非課税、もしくは生活保護受給世帯などの低所得世帯向けに、授業料以外の部分での援助もあります。

このような支援は、自治体ごとに対象や金額が変わってきますので、ぜひお住まいの自治体に確認してくださいね。

収入の目安は、モデル世帯をもとにしています。家族構成、会社にお勤めか自営業かでかなり変わってきますので必ず確認しましょう。

毎年、収入の確認があり、市町村民税所得割額を証明する書類の提出などを求められます。すべて学校を通して手続きすることになりますので、うっかり子どもが学校からのお知らせをママに言うことを忘れていたということがないように、気をつけましょう。


3-3.日本学生支援機構の奨学金制度


大学進学をする場合は、奨学金を活用するご家庭も多いです。
奨学金の申込みは「予約採用」と「在学採用」があり、「予約採用」は高校3年生の春に学校から説明会や申込みの案内があります。こちらも案内を見逃さないようにしましょう!


奨学金は高校3年生で必要なときには間に合いません。しかし、奨学金を確保しておいた方が、大学進学後の学費の心配をせずに受験を迎えられます。


高校3年生の春の段階では、子どもの進路が決まってない場合も多いと思います。だからこそ「足りない」を避けるために念のための申込みをしておくことも賢いママの選択ですね。


4.リアルママの声



高校生ママのリアルな声をご紹介します。

4-1.子どもの大学入試・給付型奨学金

高3の息子が、公募で大学合格!でも、本命は3か月後。まだお金はかかります。今回の受験料と合格した大学の入学金は33万円。
もしここで終わったら、1か月の塾代5.5万円×3か月+冬期講習、次の受験料20万、次の入学金25万円。合計70万円くらいが浮くのにと・・・大きいお金ですね。
シングルマザーです。指定校推薦で私立が決まりました。高2までは是非、国公立に!思っていたのですが、3月までの塾代・私立大学のキープ代も考えると、私立でも娘が希望する大学にと親子で話をしました。
今は「給付型奨学金」の申請書類の作成を、娘と一緒にがんばってます!

●高校3年生の塾代・受験・大学入学金


大学や専門学校に進学する場合、高校3年生が教育費のピークになるのでママは大変です。受験の方法もママ世代より多様化しています。


また、私立でもほとんどの大学で「給付型奨学金」があるなど、一概に国公立が安い、私立が高いという判断ではなくなってきています。

仕事をしているママは多く、忙しさもピーク!ですが、スケジュール管理とお金の管理は紙に具体的に書いて、家族で共有するのもひとつの手。
ママひとりでがんばり過ぎないでくださいね。


4-2.慎重に判断!仕事の転職・保険の解約


夫は年収960万円、私は年収190万円ほどあったのですが、扶養範囲内で働いた方がトクと周りに言われ、年収100万円の仕事に転職。

でも、家計が回りません!家のローンが月16万円、子どもは私立で塾にも通っています。
夫は富山に単身赴任で、大阪に帰る交通費もバカにならず…私、転職しない方がよかった?
上の子は高2、下の子は中3、2人で塾代が月12万円かかって、夏期講習代を払ったら貯金が底をつきそう・・・

カードローンはイヤなので、2年後に満期になる400万円の保険を解約しようか迷ったけど、保険の契約者貸付で100万円借りて、乗り切ることにしました

●家計が底をついた時の対応


高校生・大学生の子どもを持つご家庭はどこも家計は赤字になりがちです。だからこそ、冷静に「我が家はどうしたらいい?」と見極めないといけません。


ママの仕事は「扶養範囲内がトク」と言っても、扶養範囲内の収入で回る家計の場合の話。住宅ローンや教育費が高額の場合、また夫の収入が減った時などは、扶養に関係なく、ママがしっかり稼がないといけません。


周りの声に振り回されないようにしましょう。

また、貯蓄型の保険は満期まで解約はしない方がトク!です。貯金が底をついた時の対策としては、月々の保険料の支払いをストップする・契約者貸付制度を利用するのもひとつの手。


制度の利用の可否はご加入の保険会社に確認しましょう。


5.まとめ


高校生は、大学進学を希望する場合、3年生の受験費用・入学金(キープ代含む)・授業料などの納付金・大学生活の準備など一気に費用がかかります。


現金預金や学資保険の満期が間に合わない時は、「教育ローン」を借りるなど、早めに資金対策をしましょう。


高校受験であれ、大学受験であれ、計画外のことが起きても対応できるよう備えておくことができるのが理想ですが、ある程度のところで線引きをしなければなりません。
どこまで親が支えてやれるのか、ママやパパがしっかり考え、早めに子どもに伝えておくのが理想ですね。

また、奨学金の話をきっかけに親子で進路についてじっくり話し合うことができたというママもいます。子どもの選択肢を増やしてあげるためにも、受験費用・大学費用・奨学金情報収集をしてわかりやすく親子で話し合う機会を作ることも賢いママの選択です。


※各制度は2016年11月時点のものとなります。

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