マイホーム購入などの住み替えには欠かせない住宅環境。入居後に後悔しないためには、自分で現地を訪れて周辺環境を徹底的に調べるのが鉄則です。
そこで、現地見学に見逃せないチェックポイントをまとめてみました。


1.子育てに適した住環境とは?


気になる物件がある場所はどんな街?子どもが一人で歩いても大丈夫?そんな不安を解消するには、周辺環境を納得いくまで調べることが重要です。
実際に現地を見たり歩いたり、インターネットなどで情報を収集するなどして、安全、快適な暮らしを送ることができるかどうかを判断していきましょう。

現地見学には、あらかじめチェックしておきたいポイントがたくさんあります。具体的にどこをチェックすればよいのかを見ていきましょう。

1-1.住めば都?住み替えで気になるポイント


住まい選びは、まさしく「街選び」です。特に子育て世帯は子どもの通学や遊び場所など、住む環境が、子どもの成長に直結するといっても過言ではありません。
子育てに適した住環境はどこを見ればよいでしょうか。物件の情報が載った不動産広告だけでは、判断できない、駅までの距離感やどんな人が住んでいるかといった雰囲気など、街の空気感を知るためのポイントを整理していきましょう。


1-2.住まい選びは街選び。まずは自分で歩いてみよう


「家の近所の道路は、思いのほかトラックの通行が多くて心配」などと、入居してからではどうにもならないのが住まいの周辺環境。
予算の都合で妥協して入居後に後悔しないためにも、厳しい目でチェックしていきましょう。面倒がらずに、自分の目で確かめて!

安全性や利便性を把握するためには、自分がその街に住むことをしっかりと頭の中でイメージしながら見学することが重要です。


▷人の往来や交通量などは、昼と夜、平日と休日でがらりと雰囲気の変わることもありがち。
▷曜日や時間帯を変えて、何度か周辺を歩いてみましょう。家族の生活時間を考えて、実際の行動に合わせた時間帯でシミュレーションしてみるのがポイントです。


2.利便性のチェックポイント


交通アクセスや買い物施設、教育施設などの距離は、理想的な暮らしを叶えるための必須条件。普段の買い物のしやすさ、子どもの急なケガや病気のための医療施設など、家族の生活シーンを想像しながら、必要な環境をチェックしましょう。



また、いくら「閑静な住宅街」でも周辺に全く何もない街ならば、資産価値が下がります。交通アクセスや日常生活に欠かせない施設の充実度など、街としての魅力をトータルに見ていきましょう。


2-1.通勤・通学に欠かせない交通アクセス


駅からの距離は、家族みんなにとって重要なポイント。最寄り駅が遠い場合でも、バス停までの距離やバスの本数なども調べておくことが重要です。そんな交通アクセスは、次の項目に気を付けてチェックしてください。



●電車の最寄り駅
不動産の広告では「道路距離80mにつき1分を要する」として計算することが義務付けられています。実際に歩いてみると、広告に表示されて以上に時間がかかることも。
ベビーカー、子連れだとそれ以上にかかることは必須です。

駅から物件までは、必ず徒歩で歩いて、坂道や夜道に歩いて心配はないかといった点までチェックします。小学生にもなると、1人で行動することが多くなります。
最寄り駅が遠い場合は、バス停までの所要時間を歩いて調べましょう。



●最寄り駅の路線
最寄り駅に急行や特急は停まるのか?会社や学校までの所要時間はどのくらいかかるのか?通勤時の電車の本数や始発・終電の時間など。
インターネットの路線情報などのツールも活用して調べておきましょう。

子どもにとっていい環境に住みたいのはもちろんなのですが、パパやママが通勤に時間がかかりすぎるのは考えものです。
子どもとの時間、家事の時間を十分に考慮したうえで、優先順位をおいてくださいね。



●バスを利用する場合
バス停までの所要時間はもちろん、バスの本数、始バス、終バスの時間など、時刻表は要チェックです。またバスが混雑の多い道路を通って駅まで運行する場合もあるので、実際にバスに乗って確かめてみるのが得策です。



●道路までのアクセス
マイカー所有の場合は、周辺道路のアクセス状況も要チェック。マイカー通勤するファミリーならば、物件から通勤場所まで実際にドライブしてみて利便性を見極めてください。


2-2.買い物施設など近隣の商業施設


今や食材宅配(宅配食)やネットスーパーが発達しているので、周囲にスーパーマーケットがなくても買い物に不便を感じることがない時代。とはいえ、周辺に普段の買い物に便利な施設があると気分転換にお出かけを楽しむこともできますし、人の往来が増えるので、街の賑わいにもつながります。


買い物施設と同時に、家族で外食できるようなレストランやママ友たちとランチを楽しめるようなカフェなどがあると便利。どんなショップが立っているかによって、街の雰囲気も住人の層も違ってきます。自分のライフスタイルと照らし合わせて、物件周辺の施設をよく観察してみましょう。


2-3.近隣に医療施設はある?


何でもネットで事足りる現代でも、医療だけは簡単に自宅に呼ぶことができません。子どもが小さいうちは、熱やケガなどで小児科にお世話になる機会が何かと多いもの。
至近距離でなくていいですが、突然、高熱を出したときなどに、曜日や時間帯を問わず救急対応してくれる医療施設の有無も確かめておくと、いざというときに慌てずに済みます。


また乳児の場合など予防注射だけでひと仕事です。子どもが小さいうちは、病院通いを「特別なこと」と考えずに身近で重要なこと考えておくほうがよいでしょう。


2-4. 公共施設までの位置関係と所要時間


役所や保健所などの公共施設は、日常生活で使用頻度の少ない施設は位置関係を確認してみましょう。郵便局や銀行、ATM、などは比較的、利用することが多いので、どこにあるのかを確かめておくのがおすすめ。近くに図書館があると、子どもも利用できるので便利です。


3.子育て環境のチェックポイント


子育てに最適な環境となると、見るべきポイントは違います。安全な暮らしを送ることができるのか、子どもたちの学校や遊び場所はあるのか、といった子育て環境のチェックポイントをご紹介していきます。


3-1.小学校・中学校までの所要時間と交通状況


小学校や中学校までの距離は、近ければ近いほど安心。ただ単に位置関係だけでなく、通学路を実際に歩いて、周囲の様子をチェックしてください。
その際のポイントは、子どものスピードに合わせて歩くこと。歩道が整備されていない道路や、ガードレールの一部歩道が途切れていたり、幹線道路など交通量の多い道を横切らなければいけない場合は、遠回りをして安全な道を通るといった対策が必要になるかもしれません。


この他、途中に人目が届かないような死角があったり、自動車の往来が激しい道路だったりすると、安全性に不安が残ります。
日没後にも現地に出向き、街灯の設置数や道の明るさなども調べておくことをおすすめします。


3-2.保育園・幼稚園の位置関係と入園手続き


まずはインターネット検索で、保育園・幼稚園の所在地や定員といった基本情報を抑えておきましょう。
ここをおろそかにしてしまうと、待機児童問題に巻き込まれる可能性も。

また私立幼稚園の場合は、通園バスを用意している園も多いので、バスの経路が物件の近くまで来てくれるかどうかを確かめてみることもポイントです。


また、物件の候補が絞り込まれてきたら、保育園・幼稚園の状況を確かめるためにも、事前に見学をしておくのがベストです。入園説明会の情報は、ホームページのほか、役所でも調べることができるので、問い合わせてみましょう。


3-3.公園・児童館の位置と環境


家族でのお出かけはもちろん、子どもだけで遊べる年齢になったときに、公園や緑地、児童館など施設は必須です。子どもが歩いて行ける距離にあるかどうか、子どもが遊ばせるのに本当に適しているか、地図だけでは判断できない様子をしっかりと確かめておきましょう。



現地見学に行く際に、あらかじめ所在地をインターネットで調べておくと効率よく見学できます。現地では、清掃が行き届いているのか、清潔に保たれているかといったことまで見ておくと、周辺住民のモラルを知るうえでの手がかりになります。


3-4.子育て支援などの自治体の制度


子育てに適しているかどうかの判断基準は、自治体が提供するサービスの充実度にも大きく関係しています。幅広い世帯に対して子育てサポートの手厚い自治体は、同年代の子どもたちが多く、コミュニティへの参加もしやすくなるからです。

最近、都心部では居住スペースや共有スペースなどが子供の安全と住民への配慮を重視した子育て支援マンション認定制度を設けている自治体もあるので、子育てしやすい街の目安のひとつとなるでしょう。

中でもよく利用するのが医療費の自己負担分を助成する自治体がほとんど。子どもの年齢や内容、保護者の所得制限などは、自治体によって異なります。
この他にも、最近の教育事情に合わせた助成制度を設ける自治体も多いので、実際に役所へ問い合わせたり、自治体のホームページなどで、利用できる制度があるかどうかも確かめておくと安心です。


《子育ての助成制度の一例》

●児童手当
●幼稚園就園奨励費
●私立高等学校等授業料補助
●幼児教育の無償化
●放課後子ども教室
●スクールソーシャルワーカー
●スクールカウンセラー


4.地域環境のチェックポイント



生涯にわたって長く住み続けるためには、地域環境も大いに気になるポイント。治安や防災、都市計画など、自分で確認しておきたいポイントをご紹介します。


4-1.防災計画図から地盤の状態を確認


物件が建つ場所の地盤リスクを知っておくとよいでしょう。購入検討時の高精度な材料となり、万が一の予期せぬコスト増や工期延長などを避けて通れるかもしれません。
これを調べるために役立つのが地震ハザードマップ


地震が起きたときに、場所ごとにどのような状況になるかを予測した地図が公開されています。地盤の強弱や木造建物の密集度合いなど街によってことなる情報を地図上に示しています。


4-2.犯罪発生状況など、街の治安は要チェック


高級住宅街のある地域でも、隣の街はひったくりや空き巣など犯罪発生率が高かったりすることもあるものです。家族みんなが安心して暮らせる新居を手に入れるには、犯罪被害は可能な限り避けたいですよね。
現地で確認できるポイントは、夜遅くまで営業する娯楽施設など、住環境に影響を与えそうな施設がないかどうか。
インターネットでも、警視庁や道府県警などが公開している犯罪発生率のマップを参考にしてみてください。


4-3.土地の将来性を都市計画地図で確認


都市計画とは、国や自治体がどのエリアに何を立てて街づくりをしていくかという計画のこと。住宅地や商業地、工業地などいくつかの種類に区分し、「用途地域」として定めています。
都市計画マップで確認できるので、現地を見学する際には持参するのがおすすめです。周囲は、街づくりが行われるかが予測するために役立ちます。

最も規制が厳しい第一種低層住居専用地域。原則的には低層住宅が中心に建てられ、学校や店舗、事務所なども一定の規制において建てられます。
第一種低層住居専用地域は、高い建物が立たないため、日照が妨げられる確率も低くなります。


農地や工場を住宅地に転換するケースが増加しています。空き地はもちろん、駐車場や農地、工場などは、将来的に土地が売却されて、大型施設などの建物が建てられる可能性もあることを意識しておくとよいでしょう。


5.最後に


利便性だけでなく、環境や将来性など、自分で調べることも多い住環境。何もかもが理想通りという100点満点のエリアは、残念ながら存在しないと覚悟しておいたほうがベター。どんな環境かをある程度予測しておくと、入居後のトラブルなどのリスク回避につながります。あらゆるシーンを想定して、納得のいく住まいを見つけてくださいね。