1.「事前審査」と「本審査」2段階審査



住宅ローンの借入のスタートラインにたつまえに、住宅ローンの申し込み方法についてお話します。

1-1.事前審査

「申し込み」と理解していいでしょう。1枚の「住宅ローン申込書」に必要事項を記入するのみです。
添付書類は本人確認書(免許証のコピー)、収入証明書等です。


「記入事項」は「申込人の住所、氏名」「借入金額、借入期間、金利選択」「勤務先の住所、名称、資本金」「資金計画」「年収」「他の借入状況」等です。

1-2.本審査

「事前審査」を通過すると「本審査」にうつります。
「事前審査」との大きな違いは提出書類を多数記入する点、添付書類を数多く用意する必要がある点です。


添付書類は「印鑑証明書」「世帯全員の住民票」「源泉徴収票」「住民税決定通知書」「売買契約書」「重要事項説明書」等です。


ネット銀行の場合、「事前審査」「本審査」とも金融機関のウェブサイトで対応できます。
「事前審査」を通過すれば、必要書類等が自宅に発送されてきます。
必要事項を記入して、必要書類を添付して金融機関に返送します。


今はネットのみ対応のお得な金利が用意されていますよ!
ほんの少しの金利の優遇でも借り入れる金額が大きいので、絶対にお得です!
シミュレーションをしてそこから申し込みという流れが自然で私もそうしました。

店舗対応の金融機関の場合、「事前審査」「本審査」とも店舗に提出します。


2.審査時の項目



金融機関はどこをみて審査するのか?大きく分けて2つあります。
購入予定の自宅の担保価値と契約者のお金にまつわる状況を審査します。
担保価値とは、今売却すればいくらで売れるのかの価格のことです。項目ごとに詳しくお話します。

2-1.申込資格ってあるの?

年収、勤続年数、年齢、健康状態はおおむねどこの金融機関も申し込み資格として明記しています。

・前年の年収100万円以上  
・勤続年数1年以上  
・満20歳以上70歳未満
・団体信用生命保険に加入できること

上記のように明記しています。

2-2.頭金があるほうがいい?

購入価格の20%が頭金、残りの80%を住宅ローンの借入金額にするのが理想的なパターン
です。購入価格の100%を条件しだいで借入可能なケースもありますが、理想的には、頭金は20%必要と考えて良いでしょう。


ただ、現状低金利の状況なので、頭金を貯める時間を考えると、100%借入できる状況であれば、頭金なしで購入するのも間違った考え方ではありません。


頭金が20%前後ある方が有利になるのは事実です。
頭金を貯める能力イコール返済能力があると判断されるためです。


金融機関によっては、頭金の金額基準を満たせば、金利を優遇してくれるケースもあります。


フラット35では、借入金額が購入価格の90%を超える場合は金利が高くなります。
フラット35とは住宅支援機構が民間の金融機関と提携しているローンのことです。


頭金について、詳しくは>>頭金なしでマイホームは本当に買える!?頭金ある・なしシミュレーションをご覧ください。

2-3.借入時年齢、完済時年齢

「借入時年齢満20歳以上満70歳未満、完済時満80歳未満」こののように明記している金融機関がほとんどです。

2-4.返済負担率

通常、金融機関は住宅ローンの契約者の年収を基準に貸し出し金額を決定します。


契約者の年収 ×  0.2(審査基準) = 年間の返済金額


年収600万円の場合、年間返済金額は 600万円 × 0.2 = 120万円になります。毎月の返済金額にすると、10万円になります。


金融機関は年間返済金額を契約者の年収の20%を基準に、契約者の他の借入金額を加味して基準値を上下して契約者の年間返済金額を決定します。
上記年間返済金額を基準に金利、借入期間により借入金額が決定されます。

2-5.担保評価

住宅ローンを借入する自宅の担保価値の80%までの貸し出しなど担保評価額重視の時代もありましたが、最近の傾向は契約者の返済能力を重視する時代になりました。


しかし、中古物件の場合、あまりにも評価額が低いと、契約者の返済能力がOKでも審査が通らないケースもあります。また借入金額を減額されます。

2-6.勤続年数

勤続年数1年以上、3年以上と申し込み条件に明記している金融機関がほとんどですが、
ネット銀行を中心に柔軟に対応する傾向になっています。転職したばかりであれば上記条件を満たさなくなります。


以前は転職そのもの自体がマイナス要因になっていましたが、内容をみるようになりました。
年収がアップした、より良い企業に転職したのであればプラス要因と判断する金融機関も存在します。

2-7.健康状態

当然健康であることが条件になります。団体信用生命保険に加入できることが条件になります。
団体信用生命保険とは住宅ローンの契約者が死亡した場合に保険金でローンを完済し、家族の返済を免除する制度です。


団体信用生命保険加入に関しては告知書に告示事項を記入するだけでOKの場合もありますが、借入金額が高額な場合は健康診断書を提出するケースもあります。

この保険を掛けることで、通常の生命保険を見直すことができます。
例えば、死亡保障が2000万円入っていた場合、もし死亡すると家のローンがなくなるわけですから減額することが可能ですよね。

2-8.年収、勤務先の状況



年収は借入金額を決めるときに大きな基準になります。当然、年収が多いほど多くの金額が借入できます。


しかし住宅ローンは長期にわたる返済になりますので年収金額の長期の安定性も重視します。契約者のお金の出所である勤務先の状況も重視します。
公務員、上場企業の社員は信用力が高いです。倒産する確立が低いためです。

3.不安な要素



金融機関は契約者の過去の借入履歴、返済履歴を個人情報機関に照会して確認します。


過去にどのようなローンを借入しているのか きちんと返済しているのか。住宅ローンは高額な金額になりますので個人の信用力を調査します。


無計画な借入がなし、延滞履歴なしが高い信用力になります。延滞履歴がひとつでもあると、審査が通らない金融機関もあります。


延滞履歴にはクレジットカードの支払い、携帯電話の分割払いも含まれています。無計画な借入は消費者金融から繰り返し借入している等も含まれています。

不安な要素を取り除いておくことも大切なんですね!家は一生で一番高い買い物。
色んなことを知っておかないといけませんね。

4.多数の銀行には出さないほうがいい



事前審査は最低3社以上申し込みをしましょう。
ネット銀行の場合、申し込書に必要事項を記入するのみなので手間暇はかかりません。比較検討は必要です。
複数の金融機関に同時申し込みできる一括サイトもあります。


しかし本審査の場合は申し込み用紙、添付書類が多数あります。書類を取り寄せるために時間と労力と経費がかかるため、本審査は1社に絞った方が賢明な選択です。


事前審査に多数申し込みをした中で、金利、諸費用を基準に検討し、最終的に1社に絞りこみし、本審査の申し込みをしましょう。


5.審査期間



事前審査は通常どの金融機関でも、1週間前後で結果がでます。
事前審査を通過すると、ネット銀行の場合は必要書類等内容詳細が郵送されてきます。
金融機関の店舗での申し込みの場合は、必要書類を添付し申し込書を提出します。


通常本審査は2週間前後で結果がでます。
しかし、本審査に関しては一部のネット銀行で1か月半かかった事例もあり、審査の内容、込み具合等もありますので、金融機関の対応によりバラバラの状況なので、あくまでも目安と理解しておいてください。

本審査書類提出時に目安期間を確認しましょう。

本審査が通った結果が電話であったときは嬉しかったです!
大丈夫だと思いながらも、主人と喜んだのを覚えています。

6.審査に落ちないために、日々すること



すでに借入しているローンをできるだけ完済することです。
ショッピング、車、教育ローン等、またクレジットカードの分割払い、リボ払いなどひとつでは少額な金額ですが、まとめると大きな金額になります。


上記の借入金額を完済することで、住宅ローンで使える年収に対する返済額の枠を増やすことができます。
また基本的なことですが、延滞履歴を残さないようにローンの引き落としには最大限の注意をしましょう。


7.審査に必要な書類


書類名
給与所得者の場合 源泉徴収票または給与証明書(直近2年分)
住民税決定通知書(直近2年分)
個人事業者 納税証明書(直近3年分)
確定申告書(直近3年分)
法人代表者 決算報告書(直近3年分)
共通項目 売買契約書
重要事項説明書
住民票
印鑑証明書
免許証のコピー

上記が一覧表です。購入する物件により上記以外の書類も必要になる場合もあります。


8.大切なこと



年間返済金額を年収の20%以内するのが安全な借入金額です。


住宅ローンの借入金額は金利が低いほど、また期間が長いほど多く借入できます。

年収600万円の場合 年間返済金額を年収の20%(安全基準)に設定すると、期間35年 金利0.5%(変動金利)の場合、3.852万円借入できます。
同じ期間(35年)であっても、金利1.0%(固定金利)に上昇すると3.543万円になります。


たった0.5%の金利差ですが、住宅ローンは35年という長期間にわたるため、309万円もの差額金額になります。



また同条件で期間を30年に短縮すると、金利0.5%の場合3.342万円 1.0%の場合3.109万円とたった5年短縮するだけで上記金額に大幅ダウンします。


年間返済金額を年収の25%(無理な基準)に設定すると0.5%の場合4.815万円 1.0%の場合4.428万円と大幅に借入金額はアップします。


上記借入金額(年間返済金額を年収の25%に設定)は金融機関が不動産業者と提携して、高額な物件を販売するために実際に貸し出ししてくれる金額です。

しかし、実際は返済できる金額(年間返済金額を年収の20%に設定)で借入するのが安全な住宅ローンの組み方です。


金額で比較すると、年間の返済金額120万円(毎月10万円)に対して150万円(毎月12.5万円)、30万円(毎月2.5万円)も多く払うことになります。

冷静になって考えてみましょう。
年収600万円で毎月の返済金額12.5万円はかなりの負担です。

年収600万円 頭金500万円が用意できる場合 安全な借入金額3.543万円をプラスして4000万円の予算の範囲で物件を探すのが安全な購入方法です。


借入できる金額4.428万円を基準にして5000万円の予算の範囲で物件を探さないようにしましょう。この行動は住宅ローンの破たんに突き進む行動です。


借入できる金額で設定するのではなく、安全に返済できる借入金額で設定するのが鉄則中の鉄則です。