今回は大阪から「マイライフエフピー」の加藤葉子さんにインタビューをさせていただきました。
現代は離婚を躊躇する時代ではなくなったとはいえ、現実の生活は女性に重く負担がかかっています。最近はシングルマザーの貧困がやっと、クローズアップされてきましたが、
日々関わるママさんから感じることはどんなことでしょうか。
子どもが小さい時は、保育園や幼稚園の送り迎えや病気など手がかかり大変です。しかし、子どもが大きくなると、次は「お金の問題」。子どもを育てるにはお金がかかり、高校3年生の受験や塾代、大学費用を支払うと、赤字家計になる家庭がほとんどです。ひと昔前と違い、子どもが携帯を持つようになったり、消費税がアップされたり、少しづつの負担が積もり積もって家計に大きな負担になっています。
特に、シングルマザーさんは、日々の生活だけでも精一杯なので、貯金もなかなかできずに、子どもの教育費をどうしたらいいのか悩む姿は深刻です。
なので、シングルマザーや子どもの貧困は早急に解決しないといけない問題だと現場の声を聞いて切実に感じています。シングルマザーさんの収入は、子育て世帯の収入の1/3で就労収入は月約15万円です。子どもの貧困は諸外国に比べて圧倒的に多いのです。
シングルマザーの1番の悩みは家計、2番は仕事ですなのですが、この悩みと社会問題の解決策や支援が今の日本では不十分なのです。
そんな中、収入・支出面で家計に少しでもプラスになることを実践。失敗も成功も経験しながら・・」と書かれておりましたが、少し具体的に失敗と成功例などお聞かせいただけますでしょうか。
でも、結婚し、子どもを授かり、離婚に直面した時、娘のためにお金の知識がないと子どもを守れないと思いました。でも、お金の知識が何もなかったので、「宝くじを10枚」買いに行くところからスタートでした。当然当たるわけでもなく。。
次は、現実的に家計簿をつけようと試みましたが、時間が掛かる割には「お金が飛んでいく事実を知りため息・・・」。半年で挫折。次は、子どものために働くことを選択しましたが、保育園に入れず、無認可保育園に月6万円支払い、家計は大赤字でした。さらには、離婚が成立し、家賃を少しでも安く押さえようと、古い一軒家に契約しましたが、トラブルで1か月の家賃6万円を泣き寝入りするなど、本当に踏んだり蹴ったりでした。
そんな中で、よかったなと思うのが、ファイナンシャルプランナーの勉強をしたことです。すぐに結果がでる訳ではないのですが、基本的なお金の考え方と実生活で必要なお金の知識がついたことで「家計にプラスになりそうなこと」をチャレンジする勇気がわきました。
実践したことは色々ありますが、例えば、保険や通信費の見直し、副業や投資などです。仕事をしながらの副業は年間20万円までであれば、確定申告をしなくていいので、積極的に単発の仕事をしました。
投資は、子どものために独身時代のなけなしのお金を少しでも利率のいい金融商品に預けたいと思いスタートしました。投資をはじめてすぐリーマンショックで世界中の株が下がりました。もし、私に基本的なお金の知識がなかったら、大損をしていたかもしれません。でも、月1,000円からできる堅実に増やす方法やリスクのすくない方法を実践し、10年経った今では十分利益が出ています。
お金の最も基本の、収入を増やす・支出を減らす・貯まったお金を投資するといったことを堅実にこの10年やってきて、今はお金の不安がなくなって、使いたいことに使える自分になれたことが一番の成功かな?と思います。
「やっと今年になり(2016・3)調停委員さんの研修の中で、子どもの教育費や生活費にどれだけお金がかかるのか伝えさせていただく機会をいただきました。私もできることを精一杯していきますので、養育費、あきらめないでくださいね。」
と書かれていたことです。ママたち個人の力でできるところは限られてきます。今の日本のシステムを変えるために、大きい部分に切り込んでいく「愛」がいっぱいの言動。この部分について、少しお願いできますでしょうか。
調停では、子どもの福祉の観点から養育費などを決めるのです。子どもを育てながら働くには限界があります。子どもを想うママは一生懸命です。でも、時給900円で1日子どもを育てながらであれば、1日7時間、1か月の給与は月12万円です。
大阪では、離婚しても府営住宅にはなかなか入れず、家賃が大きな出費になります。また、教育費は義務教育の間は無料で高校は無償化でほとんどかからないと思われがちです。
離婚の現場で活動されている方々にもまず、実際生活費や教育費にいくらかかるのか、シングルマザーさんの家計の実態と悩みと苦しみ、そして「子どもの貧困」背景には何があるか、リアルな声を聞いていただくことから地道に活動していくことで、離婚後の子どもたちの生活を守り「子どもの貧困」をなくしていきたいです。
また、お金のことをどこかで学ぶ機会もありません。なので、悩みに悩んで困っているママはたくさんいます。お金の知識はそもそも難しく感じますし、困っている方にとっては向き合うのも怖いし辛かったりします。そのことを自分自身も経験したので、「もう何がわからないのかもわかりません」という気持ちも痛いほどわかるのですね。
でも、子どものためやこれからのために「変わりたい」「なんとかしたい」と思って相談に来てくれるママは、それだけでも本当にすごいと思うのです。だからこそ、「ここに来てくれたら大丈夫」「ゆったり座ってお菓子を食べていてくださいね」などお声かけしながら、家計の計算をし、具体的に「どうしたらいいの?」をお話しています。
(下記写真は「シングルマザーの幸せ家計術」より)
「自分自身の納得のため勇気を出してみようと思います。(まだまだ不安はあるんだけど、娘にも見守ってもらいます)」と書かれておりました。
将来の夢なども含め、お聞かせいただけますか?
色々な方の支えや応援があって、経済的にも自立し、今は娘が欲しい物や学びたいことを「いいよ」と言ってあげられるようになりました。もちろん、これだけでも幸せなのですが、今はシングルマザーの家計相談ができるファイナンシャルプランナーを全国に600人増やし、シングルマザーの経済的な自立と子どもの貧困をなくしたいです。
(下記は「女性FP勉強会」より)
理由は、深刻に悩んでいるシングルマザーさんは全国で123万世帯いる中、シングルマザーのことをわかってくれる家計の相談窓口が「他にない」と口々に言っているからです。結局、ブログを通じて私のところに相談に来てくれるのですが、私一人では限界を感じています。
私は、お金のことで悩んだり、大変な経験をしたママだからこそ、本当に困っている人に寄り添ってアドバイスができると思うのです。そんな女性ファイナンシャルプランナーがそれぞれの地域に必要だと実感しています。
行政の相談も法律相談はあっても家計の相談はありません。まず、相談しやすい場と、相談できる専門家が必要です。まだまだ日本には足りないです。でも、これから本当に困っているママに寄り添いながら家計のアドバイスができる女性ファイナンシャルプランナーが全国に増えると、困っているママの悩みがふっと軽くなって、明るくなり、子どもたちが必要な教育を受けながら育っていくことがどんどんできるようになると思うのですね。
私の娘も年ごろになり、いつかは誰かと結婚し、子どもを産み育てていくと思います。その頃には「子どもの貧困」という言葉がなくなっていて欲しいと願っています。
今、お寺さんよりご尽力いただいている「おてらおやつクラブ」や法律・住まい・福祉・カウンセラーさんなど専門家の方々と協力させていただきながら、困難な問題の渦中にいるママやそこにいる子どもたちのために日々活動しています。「子どもたちの未来のために」一緒に活動できる仲間が各地域で増えてくれるとうれしく思います。
あと、今は仕事が忙しくてなかなかできていないのですが、少し落ち着いたら、両親に恩返しをしたいです。離婚し、シングルマザーで起業する私を一番心配したのは両親だと思います。今でこそ、娘の誕生日やクリスマスに家族で笑って食事会などしていますが、10年前は相当険悪になりました。娘が中学生になったら一緒に旅行に行き、感謝の気持ちを伝えたいと思います。家族だからこそ「ありがとう」と伝え続けたいです。
お名前:加藤葉子 さん
事務所名:マイライフエフピー
住所:大阪府茨木市