教育費が足りない時は、奨学金とかみんなどうしているの?いくらくらい借りられるの?
今は奨学金を利用している学生も多く、2人に1人の割合です。子どもの進路選択の幅を広げるためにも、奨学金について基本的な知識を身につけておきましょう。


日本学生支援機構や大学の奨学金を利用している割合は、大学学部(昼間)で約51% 。2人に1人以上の学生が奨学金を利用していることになります。(日本学生支援機構 平成26年度学生生活調査より)
文部科学省によると国立大学の初年度納付金は約82万円 、私立大学(理系)は約150万円 となり、30年ほど前より大学の授業料が約2倍に値上がりしています。
こんなことだから、「教育費がかかるので、子供を産むのを控える」なんてセリフが出てくるのですよね。



奨学金は、教育費が必要な親子にとっては、必要な制度。しかし最近は、大学を卒業した若者が、奨学金を返すことが出来ないという、「奨学金の返済滞納問題」をニュースで目にすることも多くなってきました。


奨学金を借りるか?借りないか?はもちろんご家庭の考え方によっても違いますが、知っておきたい奨学金の基本からご紹介します。

1.奨学金の種類



奨学金には、公的なもの、民間のもの、貸与型や給付型と色々な種類があります。一番代表的なのは「日本学生支援機構」の貸与型の奨学金です。


奨学金の種類





1-1.貸与型と給付型


奨学金には、公的なものや民間のものを含めて、たくさんの種類があり、返さなくてもいい「給付型」と、返さなくてはならない「貸与型」があります。


現在の奨学金は「貸与型」が多く、国の奨学金制度である「日本学生支援機構(元の日本育英会)」の奨学金も返さなくてはならない「貸与型」です。
「貸与型」のなかでも、利息を付けて返済するため返済額が借りた額より大きくなる有利子型と、借りた額と同じ額を返済すれば良い無利子型とがあります。


1-2.奨学金を実施している機関


奨学金事業を実施している公的機関は、国の日本学生支援機構や自治体、社会福祉協議会などがあります。もちろん、学校独自に導入されている奨学金制度もあります。


民間でも、いろいろな企業が財団法人を設立して奨学生を募っています。募集の条件や時期も奨学金ごとに異なり、給付型があれば貸与型もあり、多種多彩です。
日本学生支援機構の奨学金と併給できるものも多いので、チェックしておきましょう。

一般に奨学金というと日本学生支援機構のものと考える方が多く、ここでも日本学生支援機構の奨学金をメインに解説していますが、他にもあることをおさえておきましょう。


1-3.教育ローンとの違い



奨学金と教育ローン、どちらも教育費を補うために利用されますが、違いをおさえておきましょう。


奨学金は、経済的な理由で修学が困難な、意欲のある学生に対する援助です。学生本人が借り(または給付を受け)、親の収入が一定額以下であること、学生の成績が審査されます。入学後から卒業まで毎月定額を貸与する形が多く、卒業後、学生本人が返済することになります。


これに対し、教育ローンは、教育資金に限定した貸付です。借入をする親に返済の見込みがあるか、貸付時に審査がされます。審査に通ると、入学前でも貸し付けられるため、受験費用などにも利用できます。
ただし、貸付の時点から在学中であっても利息が発生することが注意点です。


2.奨学金の代表「日本学生支援機構」


現在の奨学金は「貸与型」が多く、国の奨学金制度である「日本学生支援機構(元の日本育英会)」の奨学金も返さなくてはならない「貸与型」です。
利子のつかない「第一種」と、卒業後利子をつけて返さなくてはならない「第二種」とに分かれています

2-1.申込みの方法


日本学生支援機構の奨学金には、進学前に申込みをする予約採用と進学後に申込む在学採用とがあります。


◆予約採用

予約採用で進学前にあらかじめ奨学金を借りられると約束してもらえると、進学後の経済的不安が軽くなり、子どもも安心して勉学に取り組めるようになります。

奨学金の申込みは、原則として学校を通じて行います。募集時期は在学する学校(または出身校)によって異なりますが高校3年生の春が多いです。気づかないうちに募集が終わっていたということがないように学校に確認しましょう。


◆在学採用

大学進学後の学校で申込みをします。予約採用で不採用になった場合でも申込みできますから、再挑戦しましょう。原則として毎年4月の募集ですが、窓口となる学校により申込締切日が異なりますので、やはり注意が必要です。


また、家計を支える方の失業や病気、災害などの事情により、緊急で学費が必要になった学生のために、緊急採用も随時行われています。


2-2.いくら借りて、いくら返す?



では、いったいいくら借りることができて、いくら返さないといけないのか。具体的な金額で見てみましょう。多くの人が借りている「日本学生支援機構 第二種奨学金(有利子型)」は、貸与月額によって「3万・5万・8万・10万・12万」に分かれています。

奨学金いくら借りる?いくら返す?

例えば、毎月10万円を借りるコースの場合、4年間で480万円を借りることになります。
利率は、卒業時に固定型か変動型かを選ぶことができ、上限が3%と決められています。仮に固定型で1%だった場合、返済総額は約532万円です。


返済期間や返済月額は、奨学金返還年数算出表から計算され自動的に決まり、毎月定額を返還する方法では、月額22,172円を20年間かけて返していくことになります。

2-3.返済計画を考える



今ニュースなどで話題になっている奨学金の滞納問題の背景には、大学生の就職難や非正規雇用の増加など雇用環境も関係しています。しかし他にも注意しないといけない点もあります。


「2人に1人以上が奨学金利用者」ということは、結婚を決めた夫婦2人とも奨学金を返済しているというケースも珍しくないということです。もし夫婦が2人とも、前述の月額貸与10万円の奨学金を受けていた場合、家計に占める月々の返済額は約44,000円で、42歳まで続くことになります。結婚後、マイホーム計画や、何人子どもを持つかなどの、ライフプランに大きな影響が出てくる可能性もあります。


奨学金はありがたい制度ですが「借りたものは返す」計画をしたうえで借りることが大切です。返済できる金額の借り入れでなくてはなりません。だからといって、少ない金額しか借りず、生活費が足りないために子ども自身がアルバイトに追われ、学業がおろそかになるのでは本末転倒です。計画性を持って借りましょう。


3.まだある!奨学金の利用の注意点


日本学生支援機構の奨学金の申込みは、高校3年生の春に実施されることが多いです。高校でも奨学金説明会は実施しています。奨学金の申請後はほっと一息だと思いますが、申し込んだ後にも注意点があります。

3-1.要注意!奨学金は入学金支払に間に合わない!


高校3年生入試スケジュールイメージ

高校3年生で日本学生支援機構の奨学金を申請し、無事、審査を通過。志望の大学にも合格して万々歳!でも実はその奨学金、大学の入学金と前期授業料支払いには間に合わないのです。

審査を通過して、高校を通して受け取った「奨学生採用候補者決定通知」は、あくまで奨学金の権利を得たというだけのもの。入学直後に行う「進学届」の手続きを終えて初めて、正式な奨学生であることが決定します。


実際の奨学金の第一回目の入金は大学入学以降。入学金や前期授業料、私立の場合の施設費や教育充実費は、合格通知後。
大学入学を待たずに入金が求められるため、奨学金が間に合いませんし、日本学生支援機構には「入学時特別増額」という第一種・第二種に加算される一時金もありますが(別途基準あり)、やはり入学前に借りられるものではないので注意です。


3-2.入学時に必要なお金は、大学費用だけでない


合格後の入学金や大学費用は前もって調べておくことが大切です。入学時に必要なお金は、入学金や前期授業料など、学校側に支払うお金ばかりとは限りません。
意外と見落としがちな項目として、「受験費用」があります。


「受験料」はセンター試験3教科以上で18,800円 (平成28年度、成績通知あり)。国公立大学の2次試験受験料は17,000円程度となっています。
私立の受験費用は2万~5万が多く、複数の受験と遠方の大学受験のための交通費・宿泊費を合わせると数十万になってきます。


ちなみに我が家では、私立大学を3校受験しました。知ってました??1つの学部を受けるのですが、3日間も受験できるのです。(体調不良の心配もあり、純粋にチャンスが増える!ということなのでしょうが、当たり前ですが、受験料は×3です。
なので1校あたり、35000円×3=105,000円。それが3校なので、315,000円。これは、一般的なほうだと思います。


そして、塾代。100万円仕事ですね・・・。全く・・・。



詳細は>>大学生はいくらかかる?教育費とその他の費用をご覧ください。高校3年生の夏までに必要な現金の用意をしましょう。



3-3.高3の夏までに、必要な現金の用意を!


大学入試事情も近年変わってきています。少子化により、優秀な人材を出来るだけ確実に確保したい学校側の思惑もあり、現在の入試スタイルは昔では考えられないほど多様化しています。


その代表が、AO(アドミッション・オフィス)入試。従来のような学力試験重視ではなく、学生の能力が受け入れ側の大学の求める人物像とマッチングしているかを、書類や複数回の面接を通して判定するものです。
現在では、多くの大学・専門学校が導入しています。AO入試の特徴は、願書の受付から試験実施まで、すべてがとても早いこと!エントリー期間は5~7月、試験実施が8~10月。
合格決定後は速やかに入学金や前期授業料の支払いが必要になります。


つまり、入学に必要なお金を用意する猶予はどんどん前倒しされているということ。
進路にもよりますが、高3の夏までには、入学に必要なお金を現金で用意しておくと安心です。
もし足りなければ、教育ローンなど、他の対策を早め早めに講じていく必要があるでしょう。


4.リアルママの声


奨学金のリアルな声をご紹介します。

4-1.奨学金の情報誰に聞く?収集の仕方と活用方法

「奨学金の説明会」そんなの知らない!子どもが何も言わないから・・・明後日あるの?仕事休めないやん。いったいどうしたらいいの?
母子家庭です。ひとり親家庭向けの奨学金はダメでしたが、その時息子と進路のことしっかり話し合ったお陰か、第一希望の大学に合格しました!
息子が大学院に行きます。今までなんとか家計から捻出しましたが、もうスッカラカンです。大学院も奨学金はありますか?

<FPのコメント>

●高校3年生の春には高校で説明会、大学には直接聞く

奨学金の説明を聞き逃した!というママは実際多くいます。お子さん自身「我が家は借りなくても大丈夫」と思っていることも多いです。


日本学生支援機構の奨学金については、高校3年生の春に学校で説明会があるところが多いです。奨学金といえば、高校3年生の秋・冬に検討するものと思っていたら大間違い!
なので、ここは高校の先生に直接「いつありますか?」と聞くのがもっとも確実です。もちろん、ママ友から教えてもらうのもOK。ただ、高校生ママともなると仕事をしているママがほとんど。忙しくて連絡漏れがあるかもしれないので先生に聞くのが無難ですね。


そして、給付型奨学金は大学独自のものもたくさんあります。大学のホームページを見ても、正直「我が家は?子どもはあてはまるの?」はわかりません。これも直接電話で大学に問い合わせてみましょう。大学独自の給付型奨学金は制度が変わる可能性大!電話で確認していきましょう。奨学金は大学院生にももちろんあります。


●奨学金借りる?借りない?

奨学金については「借りるか、借りないか」ママが悩むことも多いです。「返せなかったらどうしよう」という不安もつきまといます。でも、だからといって家計がギリギリでは、いざという時や子どもの就職活動費も出せなくなります。


奨学金の返済が難しくなった場合、返済しないまま期日が過ぎて延滞になってしまうと、延滞金が発生し、支払いの督促があります。延滞が3ヶ月以上になると、個人信用情報機関に登録されてしまいます。


そうなると、クレジットカードの発行、住宅ローンなどの審査が通りづらくなるなど、ライフプランへの影響が深刻です。延滞になる前に少ない額での返済(減額返還)ができるか、または返済をしばらく待ってもらえないか(返還期限猶予)、早めに相談しましょう。


●奨学金と親子関係

奨学金を借りる時は、「親子でしっかり話し合うことが大切!」奨学金を上手に活用しているリアルママの声です。
逆に、本人の自覚が欠けていたために、大学入学後に留年、成績要件で奨学金がストップし、授業料が払えないために中途退学。結局、奨学金という名の「借金」だけが残ったという、大変深刻な例もあります。

一番大切なことは、奨学金を「子どもも納得して借りること」です。



子ども自身が大学で何を学び、どう仕事に活かしていくのか。なかなかそこまで話し合いは難しいかもしれませんが、奨学金をきっかけに「子どもの夢がゆるぎないものになった」という声もあります。家族で必ず話し合いをしましょう。



5.まとめ


奨学金は情報が命です。奨学金は早めの情報収集と、募集時期を見逃さないこと!申請には書類などの準備も必要です。大学にどんどん問い合わせて早めに準備しましょう。


もらえる奨学金を見逃さない

返さなくてはならない「貸与型」の奨学金以外に返さなくていい「給付型」があります。実は、学校独自で導入されている奨学金制度は給付型が多いのです。
また、ほとんどの国公立大学が学費の免除制度を設けており、事実上の学費負担軽減になっています。


このような給付型奨学金や免除制度は意外と知られていないので見逃しがち。「貸与型」と合わせて情報収集しましょう。

※各制度は2016年11月時点のものとなります。

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