「物件以外にかかる費用って?」

1.見積もりを取ってみると、何故か予算オーバー



自分の年収、貯蓄から予算を割り出して、組める住宅ローンの額も検討して・・・うん、カンペキ!!予算内で良さげな物件を探し出し、見積もりを取ってみると・・あれ、予算オーバー!?なんで??


実はこれ、住宅購入において、ありがちな光景です。
見積もりを出された段階では、すでに物件に愛着が沸いていることもあり、若干の予算オーバーでもそのまま購入に踏み切ってしまったり。


そもそも何故、見積もり段階で予算オーバーとなってしまうのでしょう。その原因は、物件自体の購入代金以外の、購入時に掛かる「諸費用」を考慮していないからなんですね。

ママ子

私もその1人です。だって、チラシにも、不動屋さんの話にも契約が決まるまではこんな話出てこないですもの!
総額を聞いたときは驚き!!しかもこれは現金ですぐに払うもの。しまった!と少し思いましたよ・・


2.マイホーム購入時に、物件以外に必要な費用



マイホームを購入する際に、物件代金以外に掛かる諸費用には、次のものがあります。

1.仲介手数料 2.印税紙
3.不動産手得税 4.住宅ローン保証料
5.固定資産税精算金 6.住宅ローン事務手数料
7.登録免許税 8.火災保険料
9.司法書士報酬

「えっ、そんなにあるの!」と誰もが思います。合計金額を見ると、物件価格の7~8%程度に達することも珍しくありません。それでは、一つずつ見ていきましょう。


2-1.仲介手数料



住宅を購入する際には、不動産業者さんを通じて行うのが通常です。「このマンションいいな~・・・」と不動産情報サイトで情報を見て探しますよね。その時点でもう、不動産業者さんが仲介に入っているのです。


個人が運営するサイトで、そのサイト運営者の方が「自分の家を売ります、買主募集!」というのであれば、不動産業者さんは仲介していないことになりますが・・・そんなケースはまず無いですし、あっても怪しくて手を出せませんよね。笑。


お互い、どこの馬の骨とも知れない同士では、金額の大きい不動産取引などできません。そのため、ほぼ全ての取引で不動産業者さんが入ることになり、仲介手数料が発生します。


この仲介手数料は、住宅売買代金の3%+60,000円(税抜)が基本です。売買代金が3,000万円の住宅であれば、3,000万円×3%+64,800円=964,800円の仲介手数料が掛かります。大きいですよね~・・・。



うちの場合は、2段目、863,624円でした。思わず、「え??」となりましたよ。笑

2-2.不動産取得税

土地や建物などを購入した際に、一度だけ掛かる税金です。マイホームを購入する場合には、「土地」「建物」それぞれに税金が掛かります。マイホームの場合には様々な軽減措置が適用されますので、0円ということも珍しくありませんが、5万円程度は見ておきましょう。


正確には物件購入後、半年ほど経つと都道府県から通知書が送られてきて初めて税額を知ることになりますが、不動産業者さんも大体の金額は見積もりを出してくれるはずです。
ちなみにマイホームではなく、投資用物件などの場合には、容赦無く数十万円が課税されることも多々あります。

2-3.固定資産税精算金



固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産を所有している人に課税される税金です。それが何故、不動産を購入するときに掛かるのでしょう?あくまでこれは、「精算金」ですね。


例えば、その年の7月1日に売買が行われたとしましょう。その年の1月1日時点の所有者は「売り主」ですから、売り主が1年分の税金を払っていたはずですよね。


しかし、年の途中で所有者が変わった場合、今回の例であれば、7月1日からは「買い主」が所有者になったわけですから、本来は7月~12月分の税金は、買い主が負担すべき、ということになります。


そこで、売り主と買い主の間で、「精算」するわけですね。買い主は、自分が所有者となった後の分の固定資産税、7月~12月の6ヶ月分を売り主に対して支払う、ということになります。物件価格や引渡し時期にもよりますが、5万円程度は見ておきましょう。


ちなみにうちの場合は、45,160円でした。おもいがけない出費といったところでしょうか。
家を買う何千万は分かっているのですが、普通に現金で支払わなければいけない数万円には驚きました。



ちなみにもう1つ。管理費や修繕積立金もこのときに請求されます。
現在住んでいる賃貸アパートの費用も払っている時期なので、これまた本当に痛い出費です。最初から全部を「費用」と思って用意していれば別なのですが・・


2-4.登録免許税

土地や建物を購入した際には、売り主から買い主へ権利が移ったことを、法務局にて登記する必要があります。それにより「この家は自分のもの」と公に認められるわけですね。


この登記の際に掛かる税金が登録免許税です。所有権保存登記、所有権移転登記、住宅ローンの抵当権設定登記など各種の登記が必要であり、それぞれに税金が掛かります。物件価格にもよりますが、10~15万円程度は見ておきましょう。


2-5.司法書士報酬



前述の通り、様々な登記が不動産売買には必須となり、その手続きを行う専門家が司法書士です。不動産業者さんが紹介してくれるので自分で探す必要は無いですが、10万円程度は見ておきましょう。

2-6.印紙税

売買契約書、住宅ローンの金銭消費貸借契約書に貼付する収入印紙代です。合計で3~4万円程度見ておきましょう。

2-7.住宅ローン保証料

金融機関は何の保証も無く、一個人に数千万円を貸しているわけではありません。住宅ローンを借りるための条件として、信用保証会社に保証料を支払って、連帯保証人の代わりになってもらうことを必須としているのが通常です。


金融機関や、借りる人の審査結果にもよりますが、最低でもローン借入額の2%は見ておくべきでしょう。3,000万円借りるなら、3,000万円×2%=60万円ということになります。これも大きいですね・・・。

2-8.住宅ローン事務手数料

大手金融機関では、32,400円に設定されている所が大半です。上記「2-7」の保証料を安く設定している金融機関の多くは、この事務手数料を高く設定しているため、「2-7」の保証料とセットで考える必要があります。

2-9.火災保険料

住宅ローンを借りるには、建物と家財について火災保険に加入することが必須です。住宅ローンの年数に合わせ、30年分などの年数分を購入時に一括で支払います。保険金額によって保険料は変わりますが、20万円程度は見ておく必要があります。


ここまでの見ておくべき額を合計してみると、以下の通りとなります。知ってしまうと、マイホームを購入することを考え直してしまいそうな金額ですね!!

1.仲介手数料 964,800 2.印紙税 40,000
3.不動産取得税 50,000 4.住宅ローン保証料 600,000
5.固定資産税精算金 50,000 6.住宅ローン事務手数料 32,400
7.登録免許税 125,000 8.火災保険料 200,000
9.司法書士報酬 100,000 2,162,200





3.住宅ローン返済だけではない!マイホーム購入後に掛かる費用

マイホーム購入後に掛かる費用も、予め考慮に入れておく必要があります。
主なものとして次のものがあります。


1.地震保険料
2.固定資産税
3.リフォーム代金
4.管理費・修繕積立金
5.引っ越し代


 また、ここには挙げませんでしたが、マイホームを購入した方は、家具・家電製品を新調する方も多いです。その場合にはさらに+αの金額が掛かります。


3-1.地震保険料

住宅ローンを借りるための条件にはなっていませんが、万が一に備え地震保険への加入も必須です。1年毎に支払うのが通常であり、建物、家財に対して保険を掛けます。保険料は保険金額によりますが、2万円/年 程度は見ておきましょう。

3-2.固定資産税



毎年1月1日時点で不動産を所有している人に対して課されます。毎年4月頃になると納税通知書が送られてきますので、そこに記載されている期日までに金融機関で納付します。


一括で納付するか、年4回に分けて納付するかを選ぶことができます。税額は、計算が複雑なので不動産会社さんに見積もりを出してもらうのが早いのですが、以下の算式により大まかな額を予測することはできます。

土地:購入価額×70%÷6×1.4%    
建物:購入価額×70%×1.4%
 

仮に3,000万の物件で、土地1,200万、建物1,800万であった場合には、上記算式に当てはめると、土地固定資産税19,600円/年、建物固定資産税176,000円/年となり、計20万円程見ておく必要があります。

3-3. 修繕・リフォーム代金



一戸建てを購入された方は、当然マイホームの管理も自ら行う必要があります。新築、中古によっても周期は異なるでしょうが、外壁や屋根の塗装をしたり、水周りの修理をしたり、諸々の修繕・リフォームが随時必要となります。


毎年掛かるものではありませんが、いざ必要となったときのために、資金を貯めておく必要はあるでしょう。マンションの方も無関係ではありません。外壁等、共用部分の修繕やリフォームは管理組合主導のもと、住民全員で行っていきますが、内装等の専有部分は、必要に応じ自ら修繕やリフォームを行っていくこととなります。


ママ子

ちなみに我が家は10年経ったときに、お風呂のお湯が出なくなりました。
賃貸のときなら、「大家さん~」と連絡するだけで工事が入っていたのですが、当たり前ですが全て自分。
ガスやさんに連絡するのも、支払うのも・・・一番安いのを選んだつもりで20万円近くかかりました。。。泣


3-4. 管理費・修繕積立金



マンションを購入された方は、自動的に毎月の家賃と共に支払うこととなります。物件の予算を考えるときに、物件価格だけでなく、この管理費・修繕積立金も含めて考えましょう。


物件価格だけを見て、「毎月の住宅ローンの返済はこれくらいか。それなら予算はもうちょいいけるな・・・」なんて考えていると、完全に予算オーバーです。物件広告に必ず記載がありますので、忘れずに確認しましょう。2万円/月前後掛かる物件が多いようです。


なお、一戸建てを購入された方は、毎月徴収されることがないので、自ら積み立てておく必要があります。


ちなみに我が家はマンションの入居数が少ないために管理費が高い!修繕積立金は少ないのですが(これはのちに自分たちのためになるので、少ないのは心配)、管理費が3万円近くするんですよ。管理が重厚で高いならまだしも。。絶対にチェックしてくださいね。

3-5.引越し代



荷物の量にもよりますが、最低5~6万円は見ておくべきでしょう。節約しようと、自前で引越し作業を行うのはオススメできません。新居に早速キズをつけることになりかねませんし、不慣れな作業は近所迷惑にもなります。


通常、子供がすでにいる家庭ならやはり荷物は多くなっていますね。私も見積もりに、大手2社と地元の1社に来ていただきましたが、最低10万円からでした。これまた予想外の出費。
なので、平日の午前中を選択しました。(平日の午後が一番安いはず)しかし、午後では夜に寝ることができません。子連れなので用事も進まずです。


しかし、では自前でするのか。それはあり得ません。友人は自前で、友達や、友達の旦那さんなどに来てもらっていましたが、やはり少しでもお礼は包まないといけない。ごはんも食べてもらわないといけない。何よりも素人なので、進まない・・・。これは本当におススメしません!!




4.価格別モデルケース



※ 全てのケース共通で、仲介手数料は物件か各の3%+64,800円、不動産取得税は土地部分が非課税、固定資産税精算金は半年分、司法書士報酬は100,000円、住宅ローン保証料は住宅ローン借入額の2%、住宅ローン事務手数料は32,400円、火災保険料は建物価格の1.5% の前提で試算します。



<ケース1>
・中古マンション 物件価格 2,500万円(税込、土地1,000万、建物1,500万)
・固定資産税評価額 土地700万、建物1,050万
・住宅ローン2,250万(30年)

①仲介手数料 814,800 ⑥印紙税 30,000
②不動産取得税 0 ⑦住宅ローン保証料 450,000
③固定資産税精算金 81,650 ⑧住宅ローン事務手数料 32,400
④登録免許税 138,000 ⑨火災保険料 225,000
⑤司法書士報酬 100,000 1,871,850



<ケース2>
・ 中古マンション 物件価格 3,000万円(税込、土地1,200万、建物1,800万)
・ 固定資産税評価額 土地840万、建物1,260万
・ 住宅ローン2,700万(30年)

①仲介手数料 964,800 ⑥印紙税 30,000
②不動産取得税 18,000 ⑦住宅ローン保証料 540,000
③固定資産税精算金 98,000 ⑧住宅ローン事務手数料 32,400
④登録免許税 165,600 ⑨火災保険料 270,000
⑤司法書士報酬 100000 2,218,800



<ケース3>
・中古マンション 物件価格 3,500万円(税込、土地1,400万、建物2,100万)
・固定資産税評価額 土地980万、建物1,470万
・住宅ローン3,240万(30年)

①仲介手数料 1,114,800 ⑥印紙税 30,000
②不動産取得税 81,000 ⑦住宅ローン保証料 630,000
③固定資産税精算金 114,350 ⑧住宅ローン事務手数料 32,400
④登録免許税 193,200 ⑨火災保険料 315,000
⑤司法書士報酬 100,000 2,610,750



<ケース4>

・中古マンション 物件価格 4,000万円(税込、土地1,600万、建物2,400万)
・固定資産税評価額 土地1,120万、建物1,680万
・住宅ローン3,600万(30年)

①仲介手数料 1,264,800 ⑥印紙税 30,000
②不動産取得税 144,000 ⑦住宅ローン保証料 720,000
③固定資産税精算金 130650 ⑧住宅ローン事務手数料 32,400
④登録免許税 220,800 ⑨火災保険料 360,000
⑤司法書士報酬 100,000 3,002,650



ご自身の予算に合わせて、参考にしてみてくださいね。




5. おわりに



 いかがでしたでしょうか?諸費用について全く考えていなかった、という方は、改めて予算に組み込んで物件探しをしていきましょう。なお、これらの諸費用を節約する手段が、無いわけではありません。


例えば最も大きい仲介手数料。
若干難易度は高いですが、住宅を建てているハウスメーカーなどから直接購入することができれば、所有者=販売者なので、仲介手数料は不要となります。


また、火災保険などは、銀行や不動産会社に勧められるまま加入するのではなく、保証内容を吟味して、自分にとって本当に必要な保証を付けた場合の保険料を比較し、保険会社を選びましょう。
人生で最も高い買い物ですから、過度に遠慮する必要はありません。諸費用も含めて、納得のマイホーム選びをしたいものですね。