家庭には様々な事情があり、お仕事に“融通”を利かせたいことがあると思います。
事情には『産休』、『育児』、『介護』などがあります。どれも大切な事情であり、家族が一丸となって取り組むべきことでしょう。
ただ、これらの事情にどれだけの融通が利くかというのは、非常に難しい部分です。しかし、サポートする制度があること自体を知っているか知らないか、そしてその制度がどんな内容であるかを知っているか知らないかとでは雲泥の差が生まれます。
今回はそれらの制度を総まとめしていきます。
1.産休制度とは
産休制度のなかでも、産前から取得できるのが『産前休業』といいます。産前とありますが、具体的には出産予定日6週間前からが対象となります。
ちなみに生まれる子どもが双子である場合には、6週間前からではなく14週間前からの取得が可能です。
出産した日の翌日から適用されるのが『産後休業』です。産後休業は出産翌日から8週間の取得が可能です。
また、実際の出産日が出産予定日よりも長引いてしまった場合でも、出産翌日から8週間きちんと確保されますからご安心ください。
この出産の前後14週間を「産休休暇」といいます。
2.育児休暇制度とは
2-1.子どもが1歳まで。 保育園が見つからない場合は延長可能!
『育児休暇制度(育休)』とは、名前の通り子どもを育てるために利用する制度です。
産後休暇の翌日から子どもが1才になるまでの間の休暇です。
しかし、1歳になって以降、「受け入れてくれる保育園が見つからない」などの理由がある場合は、1歳までではなく1歳6カ月になるまで育児休暇を延長することができます。
ただ保育園探しは子どもが生まれる直前から探すのではなく、子どもができたとわかった瞬間から探し始めることをおすすめします。
また、両親のどちらかが育児休暇を取得し自宅で面倒を見る場合も、一応保育園は探しておくべきです。やむを得ない事情で面倒が親自身で見れなくなった場合の保険となります。
2-2.夫婦で取ろう!パパ・ママ育休プラス
近年では“イクメン”という言葉も知られるようになり、男性が育児休暇制度を利用する事例も少しずつ増えてきています。
2009年の法改正により、『パパ・ママ育休プラス』という制度が加わりました。
これは前述のようなイクメンを増加させることを目的に新設されたもので、夫婦で育児休暇を取得する場合、子どもが1歳2カ月になるまで休暇の期間を延長するといったものです。
通常は1歳になるまでが原則ですから、そこからさらに2カ月延長できるのがパパ・ママ育休プラスになります。
2-3.取得できる条件
育休制度は取得できる条件にあてはまる人でないといけません。
(正社員の場合)
•現在の会社での雇用が1年以上経過している
•子供の1歳の誕生日まで、退職する予定がない
(契約社員・派遣社員の場合)
•育児休業の申し出をした日から直前1年間、現在の会社との雇用関係がある
•子供の1歳の誕生日まで、契約が続く見込みがあること
正社員でなくても取得できる人が多いはずです!
2人目も諦めないでくださいね!
3.介護休暇とは
3-1.負傷や疾病にも利用可能!介護休暇制度は93日まで
『介護休暇制度』とは、要介護状態にある家族を介護するために休みを取得する制度になります。
「要介護状態」とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態をいい、「対象家族」とは配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫をいいます。
取得できるのは年間でのべ93日までとなっています。
「のべ」と書いてあるのは、一気に93日とらなくてもいいということです。
一度、介護休暇を取得し1か月で復帰したとしましょう。しかしその後、再び要介護状態に至った場合、通算93日まで取得できます。3回目も同様にできます。
なので、「何度も、みんなに迷惑をかけて・・・」なんて思わずに、制度を利用し「辞めない」ことで、みんなに感謝の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。
3-2.取得できる条件
・同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること
・介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用されることが見込まれること(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)
4. 看護休暇とは
4-1. 看護休暇制度は5日まで
負傷や疾病を理由に休みを取得できる制度には、『看護休暇制度』があります。(名前、前項の介護休暇制度とかなり近いものとなっていてわかりづらいですよね。)
「病気・けがをした子の看護」ということになります。
こちらは1年に5日まで(2人なら10日)の取得が可能です。
4-2.取得できる条件
勤続6か月未満の人、及び週の所定労働日数が2日以下の人については、対象外になってしまうことがあります。
4-3.その他
有給休暇とは何が違うのでしょうか?まず、有給休暇は字のごとく「有給」です。一方、看護休暇は基本「無給」です。賃金は発生しません。
しかし、風邪などでよく休む子供が小さい時期は、有給がもうない!なんてママも多いですよね。「欠勤」になることはありませんので、まだ嬉しい制度とも言えます。
もう1つは、有給休暇の場合、会社が繁忙期の時などは「ちょっと忙しい時期だから日程を変更してほしい」と会社側は言えるのですが、この看護に関しては会社にその権利はありません。当たり前ですね。子どもの熱は待ってくれませんものね。
5.時短制度とは
5-1.時短制度とは
『時短制度』とは、短時間勤務などを行う制度のことを指します。
短時間勤務というのは、その名前の通り、通常の勤務時間よりも短い時間で働くことです。大体は6時間勤務になることが多いです。
子どもが3歳になるまで、また要介護状態にある対象家族の介護を行う場合は、通算93日までこの制度を利用できる権利があることは、法律(改正育児・介護休業法)で決められています。
保育園や介護施設の送り迎えなどで、どうしてもフルタイムが無理な場合には利用することで対応しましょう。
5-2.時短制度は給与カットされる?社員継続はあり得る?
時短制度には給与がカットされる可能性があること(通常は時間に応じて)があります。
総務などに確認してみましょう。
では、「正社員のまま働くことは可能?」ですが、上記にもありますが、子供が3歳になるまでは取得できますので可能です。
ほとんどの制度が、正社員のみならずパート・アルバイトでも大丈夫なのですね!
働き続けることは会社にとってもメリットがあります。遠慮せずに利用し、仕事を継続してみましょう!
6.給付金制度とは
6-1.出産一時金
『出産一時金』は健康保険に加入している方に適用される給付制度です。
子ども1人につき、42万円が支給されます。ちなみに双子である場合にはその倍の84万円が支給されます。3つ子は126万円ですよ。
ただ、在胎週数が22週に達していない場合などには、1人あたりの金額が39万円になることがあります。
ちなみに、2010年厚生労働省の調査では出産にかかる費用は全国平均で約47万3623円ですから、出産一時金によりその費用は、ほぼほぼ負担されることになります。
(申請方法)
ほとんどの病院が「直接支払制度」を採用しています。
妊婦などに代わって医療機関等が行う制度です。出産育児一時金が医療機関等へ直接支給されるため、退院時に窓口で出産 費用を全額支払う必要がなくなります。
病院からもらう「代理契約合意文書」に記入をするだけで申請ができます。
その他「受取代理制度」を採用している会社もあります。
6-2.出産手当金
産前と産後休暇中には、働く会社に給与の支払い義務はありません。
ただもし支払われない場合は、健康保険により『出産手当金』が支給されます。この時の金額は休んでいる日数1日につき、月額の給与を30で割った金額の3分の2が支払われます。
(例)標準報酬月額が20万円で、98日間産休を取得した場合
20万÷30×2/3×98日(3か月)=約43万円5000円 となります。
(申請方法)
健康保険組合に以下の書類を提出します。
•出産手当金支給申請書
•賃金台帳のコピーもしくは給与明細(産前1か月前と産前産後休暇中)
•出勤簿(産前1か月前と産前産後休暇中)
•医師による出産の証明書類
会社が行ってくれることも多いので、総務部などに聞いてみましょう
*注意
これは、健康保険料を支払っている会社員が対象者です。ですので、専業主婦や国民健康保険に加入の自営業者には支給されません。
先輩ママに聞くと、出産した産院にハンコをもらったりとしないといけないので、
産休に入る前に会社に書類をもらっておき、出産時に忘れずに病院に持っていくと持ってくる一度で済む!ということですよ!
6-3.育児休業給付金で給与をカバー
育児休暇制度を利用している間は企業が給与を支払う義務はありません。そのため、育児休暇をとるかとらないかパパとママは選択に迫られます。
男性は子どもが生まれても稼ぎ頭として働き続けることが多いですが、『育児休業給付金制度』を利用すれば生活の不安はかなり軽減されます。ぜひ一度支給を受けることを検討してみてください。
育児休業給付金は、雇用保険から支払われる仕組みとなっており、金額は通常の給与の50%が支給されます。ただ育児休暇である1年のうち最初の6ヶ月は、通常の給与の67%が支給されます。
給付金は2カ月おきに支給されますから、家計と上手くやりくりしながら計画を立ててくださいね。
例)休業開始時の給与が20万円で育児休養を240日取得した場合
・最初の6ヵ月 20万円×67%×180日(6ヵ月)=約80万4000円
・その後1年まで 20万円×50%×180日(6ヵ月)=約60万円
6-4.児童手当はいくら?
『児童手当』は養育している子どもの人数と年齢に応じて受け取ることができる給付金です。
児童手当の名前ではなく、「子ども手当」の名前で知られることもありますが、これはかつての民主党(現・民進党)政権時代のネーミングによるもので、児童手当とは同義になります。
具体的には中学卒業(15歳以下)の子どもを養育している方が対象となります。金額は下記の表にように変化します。
支給対象年齢 | 支給額(月額) |
---|---|
0~3歳未満 | 15,000円 |
3歳~小学校修了未満 | 10,000円(第1子・第2子) 15,000円(第3子以降) |
中学生 | 10.000円 |
所得制限世帯 (約960万円以上の収入あり) |
5.000円 |
人数により金額が下がることはないため、子どもの多い家庭にとってはとても恩恵のある給付金制度です。
7.扶養控除とは
7-1.扶養の意味と控除の意味
『扶養控除』というのは働いてもらえる給与に関する、極めて重大な言葉です。
そもそも『扶養』というのは、生計を共にする家族のうち、一定の金額以上を稼いでいる者(納税者)と一定の金額以下を稼いでいる者(扶養親族)の関係のことを指します。
より端的にいえば、「会社に勤めている夫は納税者で、パートで働く妻は扶養親族」といったケースが多いでしょうか。次項から扶養控除についてふれながら、より具体的な事例でご紹介します。
7-2.控除される際の注意点
納税者は扶養する親族の人数に応じて、税制上の優遇措置が図られます。これを『扶養控除』と言います。
よくパートで働く女性が「稼ぐ金額を年間108万円以下にしたい」と話すのは、この控除の枠組みが108万以下でなければ納税者に適用されないからです。
別の事例として「稼ぐ金額を年間130万円以下にしたい」というのも、控除の枠組みによるものです。もし130万円の収入がある場合、控除があることにはあるのですが所得税の納税義務が生じ控除の額も変化してきます。
また、社会保険が適用される条件には、扶養親族の収入は年間130万円以下である必要があります。そのため、やはり「年間の収入は108万以下以下に抑える」というのがベターです。
8.制度利用の際のポイント
8-1.条件の確認は入念に
今回ご紹介した制度はどれも私たちの生活に余裕をもたらし、家族との時間や自身のライフスタイルをより良くするために必要なものです。
これらの制度を利用する際には、冒頭でもお話した通り制度の存在と内容を自分自身で知っておくことがポイントになります。
8-2.勤務態度と職場関係は良好に
制度の存在や内容を知っていても、取得する際には職場(会社)との相談が必要不可欠になってきます。
当然、仕事を休むということは少なからず会社に迷惑をかけることになり、後任の引き継ぎなどの手間がかかることも予想されます。
もちろん、自分以外の社員が今回紹介した制度を利用する場合も、心温かく見守って上げるようにしましょう。私たちの社会は持ちつ持たれつで成り立っているのですから。
8-3.家庭と仕事
仕事は生活する上で欠かせない大切なものです。しかし、その仕事を頑張るのは家族を守るためです。
仕事か家庭かと二者択一の時代ではありません。当たり前に両方が必要です。
そのためにも、利用できる制度やその内容はきちんと理解しておきましょう。
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