「おばけのてんぷら」　せなけいこ　作・絵／ポプラ社


うさこは、食べることが大好き。
ある日山に登ると、お弁当を食べているこねこくんに会い美味しそうなてんぷらを見つけました。


めがねをかけているうさぎのうさこは、ある日サラダを作ろうと思い、山に出かける事にしました。
そこで出会ったのはお弁当を食べていたこねこくん。
美味しそうだねとのぞき込むうさこ。


それを嫌がりながらも、お弁当のおかずは、てんぷらだと教える優しいこねこくん。
味見をさせてよと、うさこはお芋のてんぷらをいただくことに。
食べてみると、まあなんて美味しい！


この作り方を教えてよ！と、こねこくんにお願いします。
すると、一度家に帰って、お母さんねこのお料理の本を借りて来てくれました。


いっぱいてんぷらを作るぞ！と、材料をいーっぱい買ったうさこ。家に帰って、さあてんぷら作りの開始です！
だが、途中でたまねぎを切っていると涙が止まらなくなってしまいました。
めがねを外して涙を拭きまた再開、でもそのまま作業に入り、うっかり間違えてめがねをてんぷらの衣の中に、ぽちゃんと…ああ！気づいてうさこ！！


そんなうさこが揚げた、てんぷらの良いにおいが、山のおばけのところまでやって、美味しそうなにおいだと、うさこの家までやってきました。


小さくなってひっそりと忍び込み、うさこに見つからないよう、ちょろちょろ飛びまわりながら勝手にてんぷらを食べるおばけ。
めがねをかけていないため、おばけに全く気づかないうさこ。
自分だけしか食べていないのに、やたら減るのが早いなと、ただ思うだけ。早く色々気づいてうさこ！！


個人的な感想なのですが、なんといってもこの絵本は、話の展開が非常に面白すぎです！！
うさことこねこくんの場面では、突然現われたうさこにお弁当をのぞかれ、食べられたのにも関わらず、一度家に帰って料理の本を借りてきてくれるという、こねこくんの優しさな展開があり。


うさことおばけの時は、思わず漫才かというくらい面白すぎるやりとり。
ついついこの紹介文を考えながら読んでいる時に、1人で笑ってしまいました。（笑）

以前絵本ナビの、作者のせなけいこさんのインタビューの記事を読んだのですが、めがねをかけたうさぎを描いた理由は、小学生だった息子さんがめがねをかけており、周りにかけている子が少ないから、気分が落ち込まないようめがねは楽しんだよというお話を作ろうと思ったのがきっかけだとの事。
実はすごく母の愛情がたっぷりこもった素敵な絵本だったのだというエピソードを知りすごく感動しました。


さてさて、勝手にてんぷらを食べまくるおばけにも、ついに天罰が…
そしてうさこは、めがねをかけていないことに一体いつ気づくのか！！


最後まで笑って楽しめること間違いなし！
1976年発行されてから長年、読まれ続けられているおばけのてんぷらをぜひ読んでみてください！
以上、子ども館宗像でした。